「中学受験は考えていないけれど塾は必要?周りが通い始めて不安・・・」
我が子が小学生高学年になって、塾に行かせるべきか悩んでいる保護者は多いのではないでしょうか。
入塾を考える理由やきっかけは様々ですが、この記事ではそんなときに考えるべきポイントを解説します。
この記事を読んで分かること
1.塾の役割
表面的な役割を説明。
2.「受験対策」「補習」以外の役割
見えない役割を説明。
3.塾通いが子どもに与える影響4点
通塾することで、子どもはどのような影響を受けるのか?それぞれ詳しく説明。
4.塾が必要か、不必要か?決める上でのポイント5点
まとめポイントを説明。
自分の子どもが塾に通うのか、通わないのか?
この記事では、決断を悩んでいる保護者のお手伝いをいたします。
興味のある方はぜひ最後までご覧ください。
塾の表面的な役割

塾と聞くと、おそらく以下のような役割を思い浮かべるのではないでしょうか。
進学塾
私立中学を目指し、受験に必要な対策をする。
受験を考えている子どもは、塾通いを進められる可能性が高いといえます。それは「塾」が、受験に必要な情報や、高い指導力、質の良い講師を多く保持しているためです。
補習塾
学校の授業で分からない部分を補完する。
学校で習った内容の予習・復習を行います。主に学習能力を高める目的、学習に対する苦手意識を払拭する目的があります。
また塾には「集団塾」と「個別塾」があり、個々の性格で選ぶこともできます。
学校は、全ての児童が公平に教育を受ける場所です。
しかし塾は、個人の能力や生活状況に応じた教育を受ける場であり、その目的は個々によって違います。その目的に沿って、それぞれのやり方で学習力を向上させていくのが塾の役割です。
近年の塾通いの動向

文部科学省「令和5年度学習費調査」の結果より
「補助学習費」が「その他の学校外活動費」より上周る学年と、「補助学習費」の学年ごとの動向について説明します。
「補助学習」・・・予習・復習・補習などの学校教育に関係する学習
「その他の学校外活動」・・・知識や技能を身に付け、豊かな感性を培い、心とからだの健全な発達を目的とした、けいこごとや学習活動、スポーツ、文化活動など
つまり「塾」は「補助学習」に入ります。
公立小学校

上記グラフは、令和5年度の学習費調査結果です。(文部科学省より)
公立小学校では、6年生から「補助学習費」が「その他の学校外活動費」を上回ることが分かっています。5年生のときは「11.8万円」だった補助学習費が、6年生になると「14.1万円」に増加しており、「その他の学校外活動費」はさほど差がないことから、塾に通い始めた子どもが多いことがこのグラフから見てとれます。
私立小学校

私立小学校では、4年生から「補助学習費」が「その他の学校外活動費」を上回ることが分かっています。「その他の学校外活動費」も、4年生時には「34.2万円」あったのが6年生時には「29.2万円」となっており、他の習い事を辞めて塾に通い始めた子どもが多いということも、このグラフから想像されます。
塾の「受験対策」「補習」以外の役割とは

社会の場
塾は、「勉強をする場所」というだけではありません。上記では、学習費の調査をするために「その他学校外活動」と分けて考えられていましたが、塾も習い事の一つなのです。
習い事は、「知識や技能を身に付け、豊かな感性を培う」だけではなく、「社会の場」でもあります。
そこで新しい友達ができたり、色々な先生がいたり。
塾にも学校とは違う友達がいて、社会的繋がりの幅が広がる可能性が十分にあります。
もし学校に通えていない場合でも、塾に友達がいたり、信頼できる先生がいるなどしたら、その子どもにとって大切な居場所となるでしょう。
「集団塾」であれ「個別塾」であれ、居場所が複数あることによって自分の生活が広がることになります。
塾に通うことは、社会の中で知見を増やしていく大事な社会的活動なのです。
放課後の居場所
近年は、補助学習以外にも、スポーツや文化活動といった他の習い事をしている子どもが増えています。習い事のない子どもは学校が終わると帰宅しますが、それ以降は遊ぶ友達がいない、かつ家に大人もいない状況であったりする場合があります。
塾は、放課後の過ごし方について親が安心できる居場所でもあります。夜保護者が帰ってくるまでの間、子どもは安全な場で過ごすことができます。
コミュニケーションの場
学校でとても仲の良い友達が塾に通い始めると、自分もその友達と塾に通いたいと思う子どももいます。中学受験をするでもなく、補習を必要としているでもなく、放課後家に大人がいないでもない、ただ「友達と通いたい」その一心の子どももいます。
その場合は、家庭のケースにもよりますが、子どものコミュニティとして通塾させるのも大事な決断となるでしょう。
塾通いが子どもに与える影響

学習力の向上
塾は当然のことながら、学習を行う場です。学校で分からなかったところを徹底的に指導することができる、それが塾の強みです。一度理解できると、それが学習の面白さにつながり、学力向上に繋がることがあります。
また、自宅で1人で行う学習よりも、みんなと学習する方が自然と頭に入る子どももいます。学校で習ったものを何度も復習することによって、学習力が向上する未来が期待できます。
集中力の向上
塾では、学習する状況がすでに作られています。集中力が初めはなくとも、みんなが学習に取り組む姿を目の当たりにすると自ずと自分も学習に取り組むことになります。それが繰り返されると、自然に集中力がつきます。
将来の可能性を広げる
中学受験をする予定はない、そう考えていた子どもも、「中学受験とは何か?その先に何があるのか?」を知ることによって、受験をしたくなるケースもあります。
中学受験をするもしないも、その子どもの将来を考える大切な糸口となります。もし子どもがそういった考えを持ったときは、じっくりと子どもの思いに耳を傾けるようにしてください。
また、将来の夢が特にないという子どもにとっても、未来への道筋が広がるチャンスの場でもあります。周りがどのような未来を歩もうとしているのか、直接話をしたりその様子を見ることによって、自分の未来を考えるきっかけになるかもしれません。
自分の力を客観的にみる力が身に付く
学校では、自分の力を数値化して順位付けられるということはほとんどありません。
しかし塾では、学習力のみではありますが力を数値化され、周りとの差が見えるようになります。その中で、自分はこの集団でどこにいるのか、客観的にみるようになります。その結果を考えることも、大事な成長に繋がります。
通塾する、しないを決めるポイント5点

以上、塾の役割や塾通いが与える影響について説明してきました。
最後に、これらを踏まえてどのポイントで通塾の有無を決めたら良いのか、ポイントをまとめます。
子どもの学力を把握する
塾には「補習」の役割があります。
現時点において、子どもが学校の授業についていっているのかを見極めましょう。
子どもの性格を考える
塾は「集団塾」と「個別塾」があります。子どもが集団で学習する方が良いのか、1人で学習する方が良いのか、考えましょう。
また、塾は学力を数値化する場所です。子どもが「自分と周囲を比べること」においてどのように受け入れる性格であるかを見極めることも必要です。
放課後の生活を振り返る
学校が終わった後の子どもの過ごし方を考えるのも良いでしょう。学年が上がるにつれ、周りの友達が忙しくなり遊ぶ頻度も減ってきた、そのような状況であれば塾も習い事の一つとして、検討するのも良いでしょう。
友達から与えられる影響を考える
もし、仲の良い友達から一緒に通うことを誘われている場合、かつ本人が通塾に前向きであれば入塾を検討しましょう。学力とは関係ない・・・と思うかもしれませんが、子どもにとっては塾もコミュニケーションの場、友達と楽しく通うことができれば、子どもにとって大切な居場所となります。
将来性を考える
子ども自身が今何を考えているのか、将来をどう考えているのか?小学生高学年は幼いようですが意外と大人と対等に話せる、そんな年頃です。入塾が必要かどうかは、将来なりたい職業や、どのような進路に進んでいきたいのかということに関わってきます。
その子どもにとって塾は本当に必要なのか、将来を見越して検討するのが良いでしょう。
まとめ
塾に通うのはあくまでも子ども本人です。自分の意思で通うのと、親や周りの意思で通うのとでは、モチベーションに与える影響が全然違います。
また上記以外にも、各家庭の事情や、子どもとの関係など、様々な要因があります。
通塾が必要なのか、不必要なのか。決めるポイントをいくつか説明しましたが、一番大切なことは「子どもと向き合い、よく話し合うこと」ではないでしょうか。
塾の在り方を考えるのは一度きりではない可能性もあります。入塾を決めた後も考えが変わるかもしれませんし、塾に入らないと決めた後も考えが変わるかもしれません。
定期的に子どもと話し合い、本当にそれで良いのかを共に考える。そんな寄り添い方ができれば、塾に入る未来も入らない未来も、どちらでも子どもの成長に繋がると筆者は思います。